尋常性ざ瘡(ニキビ)
にきびは病名としては「尋常性ざ瘡」と呼ばれます。2016年に「尋常性ざ瘡治療ガイドライン」が日本皮膚科学会より出されましたので、通常はこのガイドラインに沿って治療を続けていくことが一般的です。ざ瘡には、ニキビと鑑別すべきステロイドざ瘡や細菌・真菌などの感染によるざ瘡・薬剤によるざ瘡などがあります。診察の上で、診断を行い適切な治療に入っていきます。2008年にアダパレンが、2015年に過酸化ベンゾイルがにきび治療として保険で使えるようになり。遅れていた日本のにきび治療が進歩し、ガイドラインに盛り込まれることになりました。にきびは様々な原因で悪化するため、しっかりしたスキンケアとともに、状態に応じた治療を行うことが大切です。ニキビ痕(ざ瘡瘢痕)については保険治療では困難な場合があり、当院では様々な保険外治療もご用意しています。
ニキビの治療
1. 外用薬 抗生剤内服
にきびに効果的な外用薬を使用するのが一般的です。にきびの急性期と呼ばれる時期には、炎症の起こっている毛包一帯を鎮静化させることが第一です。急性期には過酸化ベンゾイルとクリンダマイシン(抗生物質)の合剤であるデユアックをはじめ、過酸化ベンゾイル(ベピオ)やアダパレン(ディフェリン)などを使用します。必要に応じて抗生剤の内服を併用したりもします。またにきびにはお肌の角質の水分量低下がバリア機能低下を引き起こし、重要な悪化因子となっているため、保湿剤を併用したりします。
2.漢方薬内服
漢方薬には化膿性の炎症の再発予防や内分泌のアンバランスの改善に役立つものがあります。当院では皮膚そのものへのアプローチを第一選択としており、漢方薬による治療は補助と捉えています。
- 十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)
初期のニキビによく使われる漢方薬で、炎症反応が比較的弱く、小膿疱が散発的に認められるタイプに効果を発揮する。
- 桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)
月経に伴い悪化するニキビや皮膚の乾燥・シミ・ソバカスなどのある場合に使用する。
- 荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
慢性期の化膿傾向のある青年期のにきび、慢性扁桃炎や副鼻腔炎を伴う場合に使われる。
- 清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)
顔の充血性のニキビ、壮年の男子などに使う。