”酸塩基平衡”を思う
私は研修医終了後、飯塚病院に肝臓内科医として配属されたのですが、その時に学ぶ機会を得ました。夜間の救急当直も課せられるハードな生活でしたが、当時岡山大学から研修医の指導で来られていたH先生との出会いのお陰です。H先生は救急外来から入院した患者さん(当然重症の方が多い)を研修医の上級医として指導しつつ、研修医の間違った治療過程を、酸塩基平衡の面から正確に解釈し直し、後で研修医が復習出来るように、そのストーリーの全過程を文章化し、その資料も配布するという指導ぶりで、その名も「研修医の失敗で学ぶ酸塩基平衡」で、非常に熱心な先生でした。当時、肝臓内科医としての力量も上げねばなりませんでしたが、この”酸塩基平衡解釈力”とも言うべき領域はなんとかしなければと思っていましたので、おススメの書籍は通読し、そのH先生の資料も読ませていただきました。その後これがどれだけ役にたったかわかりません。
先日、医学書を覗くと、当時よりはわかりやすそうな酸塩基平衡の本が並んでいました。しかし要は、自分で患者さんを目の前にして解釈評価し、患者さんの状態が改善するという経験の中で、その重要性が認識され、そのスキルが身に付きますので、その領域に熱心な上級医との出会いというのはやはり大切なのかと思います。一度身に着くと、鬼に金棒って感じになります。開業後は、当時のプリントや書籍は処分しましたが、断捨離していたら一つだけ残っている書籍がありました。「体液異常と腎臓の病態生理」です。これらの当時読んだ書籍から、”黒川清”先生を知ったのですが、最近のコロナ禍でも、黒川清先生が「イベルメクチンがパンデミックを終息する可能性」について述べられた記事があり、素晴らしい先生は何歳になっても素晴らしいとあらためて感じた次第です。一般医が病棟臨床で活用できるようになるための酸塩基平衡の書籍では、黒川先生の本くらいしか当時はなかったのではと思います。もう1冊は、「水・電解質と酸塩基平衡(Short seminars)」でこれも黒川清先生の本です。内容は臨床のベーシックな話なので、今でも十分使えます(時代に左右されない)。血液ガス測定に縁のある医師にはずっと付いて回る領域ですので、若い先生方は是非マスターして、患者さんの安定化に寄与してもらいたいと思います。
先ほど出したイベルメクチンですが、当院で使用した経験からも、効果は良好です。他院で漢方薬や解熱剤しか処方されず、症状が改善しない患者さんが受診されましたが、イベルメクチン内服翌日には急速に全身状態が改善した症例など経験しました。是非ブログを読まれている方々には備蓄をおススメします。”茶番の流れ”の中で今後はイベルメクチンが処方できない状況になっていますので。誠に申し訳ないですが。
2023年02月07日 22:53