時々書いていこうと思います。今日も痛みの話です。一人は慢性腰痛の患者さん。今年に入ってもうすでに数か月痛みが続ているとのことで、整形外科に通院されていました。レントゲン検査で、「ヘルニア」と言われたとのことで、薬物療法で治療中でした。しかし痛みが改善しないとのこと。「ヘルニア」でなくとも、よく整形外科で診断される病名で「脊柱管狭窄症」というのがお決まりのコースです。これらは構造的異常と呼べるもので、MRI検査まですると、それなりの構造上の異常といいますか、加齢性変化とも呼べるものが発見されます。そして医師からはこれが原因ですよと、判決が下されるわけです。なら、リハビリで改善しないなら、手術などしないといけないのではないか?と。もうすでに医師から診断された時点から、そのストーリーは回り始めているわけです。人間は一度信じ込んでしまうとなかなかそこから抜け出せない思考の罠があります。今回も整形外科の専門医の診断ということで数か月もそのまま痛みを我慢しながら生活されておられました。当院での診察で、腰部を触診してみると、明らかなトリガーポイントがあるわけです。そこで説明します。「今ここに響く圧痛点がありますよね、そこに注射をして痛みが軽くなるとすると、その痛みは筋筋膜由来の痛みということになります。だから頭の転換が必要になります。」と。

慢性疼痛の対応は、局部の対応だけでなく、それまで患者さんが信じてきた治療法の真否を問うことから始まります。なぜなら慢性痛には「中枢感作」といって痛みに対して脳の修飾作用が大きく関係するからです。今回の例で私が思うのは、取っ掛かりにおいては権威者の言葉を信じることがあってもいいと思いますが、それによって改善しない場合は、自分の体の声を聞いていただきたいということです。体が悲鳴を上げているのなら、次の策に打って出てほしいと思います。自分自らを大切にするということはそういうことだと思うのです。私の痛みは私にしかわかりません。私が私に最大限の関心を向ける。それは人の言葉の上をいくものです。

もう1例の患者さんは、肩の痛みで手を挙げるのが痛くてつらいということで来院されました。当然のように、すでに整形外科に通院されており、シップや内服薬は投与されていました。でも、痛みが改善せず、悲痛な表情をされており、半ばあきらめかけているかのような印象でした。トリガーポイントブロックを日常にしている医師からすると、お馴染みの部分のトリガーポイントであり、注射で痛みが改善することが予想される患者さんでした。注射を行うことで痛みが軽くなり、光が差したような表情に変化されるのが見受けられました。この変化が非常に大切な部分かと思います。筋筋膜性疼痛の場合は、治療すべき部位の要所があります。そこをしっかり注射なりで治療することは、シップや内服薬の効果の数倍の印象があります。直達的ですから。人はできるだけ痛みなく人間らしく過ごしていくということが一番嬉しいことです。毎日おいしく食事をいただき、ぐっすり眠り、そして日中も痛みなく自分らしく生きる。そのための一助になればと思っていますので、今後も痛み治療に関わっていきます。