帯状疱疹という病名、皮膚科ではよくみられる疾患です。この病気は免疫力が低下した時などに水痘帯状疱疹ウイルスが活性化して、神経炎を起こしてしまう病気で、一番やっかいな事は、皮膚炎が治った後も、「神経痛」と呼ばれる症状が持続する可能性があるということです。最初の痛みが強いほど・高齢であるほど・皮疹が広範囲であるほど神経痛に悩まされることが多い傾向にあります。顔面の場合などは、夜眠れないほどの激烈な痛みとなる場合もあります。そのため皮膚の症状が治った後に痛みが改善しないためペインクリニックなどの別の科を放浪される患者さんもおられます。

私もこの疾患をたくさん見てきましたが、この疾患は「神経痛」を終息させることができるかどうかがポイントになるため、皮膚科の疾患というより、ペインクリニックの疾患と呼んだ方がいいかもしれません。顔面の激痛の患者さんの場合は、あまりの痛みのため短期的にステロイドを内服していただき痛みを取ったりする場合もあります。もちろん帯状疱疹ウイルスに対する抗ウイルス薬を投与した上でですが。

なぜ、この疾患をペインクリニックの疾患と呼んだ方がいいかと申しますと、最初の段階から疼痛治療の方へ積極的に介入した方がいいからです。なぜなら痛みというのは、長引けば長引くほど、強ければ強いほど「神経可塑性」と言って痛みが固定化されて、治りにくくなるからです。

となると、「痛み治療」というものへの理解が非常に大切になってきます。腰痛含めまして、最近では「慢性疼痛」へのアプローチが盛んになってきましたが、日本はアメリカに10年以上、いや20年ほど遅れているとも言われています。痛みという観点から見たときに、疾患名や構造の異常に囚われて、それ故に痛いと信じてしまうということです。今回の事でいいますと、「帯状疱疹で神経炎を起こしたから痛みが残った」などです。しかし神経炎などはそう半年も1年も続くはずがありません。なのになぜ痛いのでしょうか。半年しても続いている痛みは本当に神経炎なのでしょうか?ということです。

そのへんの詳しいお話はまた別の機会に書きたいと思いますが、当院に帯状疱疹後の痛みで、昨年からトリガーポイント注射に通っておられる高齢の患者さんがおられますが、当初は杖をついて歩くこともままならない状態でありましたが、前向きな本人さんの努力も相まって、今では自転車に乗って出かけたりされています。「夜もよ~眠れるようになってますよ。昼間はほとんど痛みは感じません。」とありがたいお言葉をいただいています。このトリガーポイント注射、実は筋筋膜性疼痛への治療手段なのです。なぜに、帯状疱疹後神経痛に効くの?と思われませんか。先ほど、「痛み治療への理解」と書きましたが、まさにそこを押さえておくことがキーになります。半年以上経って続いている痛みは神経痛ではないのではないか?という視点が大切です。また続きは別の機会に書きたいと思います。