今日は、内科系のお話です。内科にかかれば、血液検査でいろんな機能検査をしていただいて、結果の説明をお聞きになると思います。急性疾患ではすぐに明らかにしないといけない炎症反応などの項目から、慢性疾患の様々な項目までいろいろです。

高齢の方になればなるほど、倦怠感や体重減少など捉えどころのない症状の裏に、悪性疾患いわゆる癌が潜んでいる場合が増えてきます。しかし患者さんにどんどん検査検査では負担も増えますし、行き当たりばったりの診療になってしまいます。今日は「腫瘍マーカー」という血液検査についてですが、これは進行癌などを中心に、その進行具体、癌のボリュームに応じて値が上昇する血液検査というのがあります。以前私が内科医になった頃は、高齢の方ではよく検査をしていました。しかし最近ではちょっと検査をすると、保険では査定され、徐々に血液検査においても積極的な検査を抑制するような流れがあります。お国の財政事情ということでしょうが、現場の臨床医にとっては、重要な部分です。

査定側からは、「それは本当に意味があるの?エビデンスがあるの?」と言わんばかりの抑制ムードがあるのですが、私たちが向き合っているのは、まさに目の前の生きた個人なわけです。そして採血というどの診療所や病院でも行われる簡易な検査がきっかけであったとしても、この腫瘍マーカーが高値であったなら、次なる本格的な検査へ患者さんを導くことが可能になります。すると、1年後などに癌が発見された場合に比べ、より対処する選択肢を提供できることが可能になり、患者さん自らが自分の命をどうするかという命題に、早めに向かい合うことが可能になります。ひいては、それは生き方を見つめるということまで昇華することになります。そのターニングポイントが、採血項目にこれを入れるという医師のちょっとした発想にかかっているとなると、「されど採血、腫瘍マーカー!」となるわけです。

実際当院でも、このような流れで他の病院で検査をしていただき発見してもらった症例があります。今振り返っても、この検査項目がなかったら、おそらく積極的に本格的検査までは勧められなかったであろうということ、さらに患者さん側も根拠がないのに検査をするということには納得されなかったであろうということ、このようなことを考えると、非常に大切な検査であるということが言えると思います。また肝機能・腎機能などの一般採血と言われる項目については内科医でなくてもどこの診療所でも行われているわけです。患者さんの個々の事情に合わせた深みのある項目というのは、実はそれ以降の項目にあるのです。

アメリカの内科医ウィリアム・オスラー博士は「人は血管とともに老いる」と表現されていますし、点滴治療によって医療は大きく進歩したといいます。その血管の中の、まさに核である血液、それを採取するのであれば、最大限有効に使って、患者さんに役立てていくのが大切なんではないでしょうか。