最近あまり書けてませんでしたので、今日は肝斑について書いてみます。内科系の話も書けばいいのでしょうが、思いついた時に気長に書きます。

肝斑はどこの皮膚科でもテーマの一つだと思います。ご存じかもしれませんが、古典的・教科書的には肝斑には「保存的治療」という柱があります。もちろん当院でも内服治療含め保存的治療は欠かせません。ただ、これだけだと頭打ち・なかなか改善しませんという方がおられます。そういう場合にどうするか?となります。

ただ最も大切なのは、それが本当に肝斑かどうか・そして肝斑だけかどうかという点です。加齢に伴い多種のシミが混合している場合が多いものです。肉眼的診断で100%正解というものではありません。おそらく「・・と・・・」ですね、という感じ。でもそれがなぜ大切かと言いますと、治療手段と繋がってくるからです。以前のブログにも書きましたが、シミ(アザを除く)は、治療的観点から5分類というのがあり、ほぼこれはスタンダードと言ってよいものです。加齢性のシミで最も多いのは老人性色素斑で、色斑とか呼ばれるもので、治療手段が非常に多いシミです。肝斑とも間違われやすかったり、混在したりしますが、先ほどの診断が大切になるのは、この老人性色素斑は、基本「良性腫瘍」という立場から考えなければならないからです。つまり何らかの手段で取り除かないと取れないという事です。さらに頬部には、ADMと呼ばれるメラニンが深い真皮に存在するシミもあります。これが先ほどの肝斑や色斑と混在する場合もあります。そのへんを考慮して、レーザーにしろ光治療にしろ、はたまた保存的治療にしろ、治療手段を判断するという流れになります。さらに混在する場合は、複数の治療手段の順番も考えなければなりません。というのは、肝斑を積極的に治療する場合は、悪化や白斑などの副作用を生じない事を念頭にしなければならないので、機器治療もその選択から照射エネルギーから、治療間隔まで専門的判断が要求されることになります。巷でよく聞く「トーニング」という肝斑のレーザー治療でも、機器の能力もそれぞれです。著明な先生方の意見を聞いても、賛成派と反対派に二分されます。

当院では、IPLにも肝斑モードというのがありますが、前回も書きましたが、ヤグレーザーのトライビームにトーニングモードが搭載されており、保存的治療以上の治療を望まれる場合は、基本こちらをお勧めします。肝斑とADMや色斑が混在したとしても、このヤグレーザーは真皮層まで入りますので、それらも同時に薄くすることが可能です。さらに肝斑の照射は、老人性色素斑のシミスポット治療のように丸くそこだけ根こそぎ取り去るという治療はご法度です。先ほどの悪化と白斑のリスクがあります。トーニングの場合は、弱めのレーザー光をまんべんなく照射することで、リスクが軽減され、トライビーム搭載のPTPモードにより、さらに白斑のリスクが軽減します。

肝斑でも、部分的に濃淡がある場合は、肝斑に色斑が混在している場合が多く、その場合は、部分的には色斑の治療を併用した方が良い場合が出てきます。先ほどの肝斑治療のリスクを考えた上で、初回に濃い色斑をある程度潰す治療というのも可能です。ただこれについては、シミスポット的照射になりますので、照射径を2~3ミリなど非常に小さくした上で、濃い部分のみを照射するというスタンスになります。通常はまずトーニングを開始し、その経過の中で、濃い部分の治療を併用するというのが一般的です。以上のような理屈から考えると、IPL(セレックV)に搭載されている肝斑モードも状況によっては使うことが可能となります。強すぎない照射エネルギーで、おそらくは表層にある色斑を薄くしながら、全体的な改善を目指すという使い方です(肝斑にピーリングが効果的という場合は、この色斑の関与が大きいと考えます)。ただ前回効果的だったからといって、肝斑混在の場合は、調子に乗ってエネルギーを上げる事はご法度になります。実際他院で治療された方が来院される場合、時々白斑が見られる肝斑を拝見させていただくこともあります。

もう一つ肝斑については、これらの治療でもなかなか反応しない肝斑というのもあります。あるタイプの肝斑には、真皮浅層の毛細血管ネットワークが関係していると言われており、この血管を処理しないとなかなか改善しない場合もあります。そのため、通常は小じわや赤みの治療として使うヤグレーザーのロングパルスモードというのを使うことで改善することもあります。なかなか奥の深いものだと思います。

今年はIPLが入り、基本シミに対しては一通りの治療手段が揃いました。患者さんの状況に応じて、いろいろとお話させていただきたいと思います。